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「練り込み」のこと

私が使用している土はほとんど顔料が入っていないもので、「土」とひと口に言っても様々な色や感触の種類があります。そんなたくさんの土の表情が見せることができるのが魅力です。

一方で、土それぞれに個性があるので、ろくろを挽いていても伸びやすい伸びにくい、焼いて強い弱いなどがある。それをひとつにまとめるという意味ではとても難しいです。

土をまとめてからロクロで挽きうつわの表面を削るのですが、内側から模様が見えてくるときがワクワクします。個々の配色を楽しんでいただきたいです。

「練り込み」のうつわ      藤居奈菜江さんインタビュー

もともとは、オブジェを作る際に土をいじって遊んでいる延長線からです。食器を作るために選んだ技法ではなく、表現方法のひとつと捉えていて、収縮率の異なる粘土を繋げてろくろで挽いたらどうなるんだろう?という好奇心から始めたのがきっかけです。

やってみたら想像していた以上に綺麗に仕上がって、どうしようかなぁと考えていたら、周りの人たちが面白いと言ってくれて。。試しに食器を作って自分で食事のときに使ってみたら、割れたり切れたりすることもなかったので、徐々に制作を広げていきました。

実際、練り込みは工程数も多く何種類もの土を使うことから、食器として作陶・販売する人は多くないので、結果として皆さんが興味を持ってくれるようになったと思います。

「ごはんを食べる」というより、「ごはんを準備している」ときが幸せで、今日のこの料理にはどのうつわが合うかな?とその組みあわせや盛りつけという工程も大切にしたいと思っています。 さらには、毎日使うものだからこそ使い勝手が良く、且つ土の素材感は残して制作するようにしています。

例えば、荒土を用いると、素焼きの際に土に混ざっていた石などが溶けその部分に凹みができるのですが、そこに少しだけ光る釉薬を塗っています。 汚れやカビがつかないようにするのはもちろんですが、うつわを使ったり洗ったりしたときに、そのうつわが少しだけキラッとしたら、さらに楽しく愛着の湧くうつわになるかな…と思い、ちょっとだけ細かい作業も施しています。

焼き物ってすごい自分が出てしまう。自分の気持ちが乱れているとそれがそのまま表れるので、「あのとき自分が手を抜いたから、やっぱりこうなっちゃった。」と後悔しないように毎回全ての工程に真摯に向き合いながら作っています。

購入してくださる方がいて、それはとても贅沢でありがたいことだなと思います。

20代の頃ずっと自分がこんなふうににやっていきたいと願っていながら、でも上手く自分の作品が生み出せない時期もあったので、やっと自分が好きなことができるようになってきたからこそ、作る大変さはあるけれど感謝の気持ちを忘れないようにしたいと思っています。

1978年 滋賀県生まれ
    大垣女子短大デザイン美術彫塑専攻卒
    京都府立陶工高等技術専門校成形科(中退)
    多治見市 ギャルリ百草 安藤雅信氏に師事
    アシスタントとして5年間学ぶ
2010年 岐阜県土岐市に独立築窯
    各地にて個展・グループ展活動

練り込みを通じて土ものの魅力を感じてもらえたら嬉しいです。

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