Creator's File vol. 47 | POTTENBURN TOHKII 中島トキコ

Creator’s File vol. 47 
POTTENBURN TOHKII 中島トキコ
スパイラル1FのショップMINA-TOのユニフォームデザインを手掛け、
自身のブランドPOTTENBURN TOHKIIでも、個性あふれる洋服や雑貨を手掛ける中島トキコ。
タオルブランド伊織と開発し、スパイラルマーケットのオリジナルブランド<+S>から発売されるタオルシリーズ「Farm」の制作を振り返りながら、ものづくりへのまなざしを伺いました。

─新しい表現に挑む場所

スパイラルとの関わりは、公募形式のアートフェスティバル「SICF(※Spiral Independent Creators Festival)」に参加したことが最初だったと思います。いまはテキスタイルを中心としたデザインをしていますが、その時は電話ボックスを模した立体作品を出品しました。既に洋服のデザインを始めてはいたのですが、元々“人を驚かせたい”という気持ちからものづくりを始めたので、せっかくならテキスタイル以外の表現に挑戦してみようと思って。

その後は、スパイラル1FのMINA-TOのユニフォームデザインをさせていただいたり、Showcaseでイベントをさせていただいたりですね。 ユニフォーム制作の依頼をいただいた時もそうですが、スパイラルとのお仕事では、いつも新しい課題や表現に挑んでいるような気がします。取り組んでいる最中は悩みますが、出来上がってみると“楽しかった”という思いが強くて。そこから新たなお仕事に繋がったこともありました。

─ことば遊びからはじまるものづくり

今でこそ洋服のデザインがメインの活動をしていますけど、大学ではわりと学問的に「美」や「アート」というものを学んでいたこともあって、言語化したテーマをいかに表現するかみたいなことに重きを置いている気がします。逆に言うと、いわゆるファッションデザイナーのように、シルエットがこうとか全体のイメージがこうとかっていうのが出来なくて。なので、デザインを考えるときにはまず、コンセプトとなることばを決めるんです。

工場に行って素材を見た時にぱっと思いつくことが多いですが、普段からアート作品のタイトルだったり、広告のキャッチコピーだったり、ことば遊びが絶妙なものがあると覚えておいて、それが発想に繋がることもありますね。落語も好きなので、よく寄席にも行きます。上手いオチにやられたーと思いつつ、自分でもそんなことば遊びができたらなと刺激をもらえます。
もちろんコンセプトは立てたものの、すんなりと表現できないこともありますね。でも、ことば自体は大事にしたいので、素材を作っている工場の方々と話し合いを重ねて、落としどころを見つけていく作業です。そういった意味では、自分のブランドでものを作っている時も、今回のように誰かとなにかを作る時も、過程は同じなのかもしれません。

─見たことのないタオルを作りたい

POTTENBURN TOHKIIというブランドとしては、2021年SSのタイミングで、コレクションとして発表し始めてから10周年を迎えるんですが、節目ということもあって、洋服以外のことにも取り組みたいという気持ちが高まっていました。ゆくゆくは空間すべてを使ってびっくりさせるようなことをしたいんですけど、その第一歩として、ファッションから飛び出してなにか作ってみたいなと思っていて。そのタイミングで、スパイラルマーケットのオリジナルブランド<+S(プラスエス)>のタオルデザインという依頼を受けました。
エターナルデザインを提案するスパイラルマーケットだから、最初にイメージしたのは「これからも続いていくもの」。そこから「耕す、育てる」というキーワードでデザイン案を考えていく中で、今回のFarmができあがってきたんです。

タオルって既にいろんなデザインのものが溢れているじゃないですか。その中で、なにか新しい自分だけにしかできない表現はなんだろうと悩みました。イラストレーターだったら絵を描けるけど、自分はそうじゃない。正直難しいお題だなと思いましたが、だからこそやってみたいなと思って。
また、生活に密着したものだからこその悩みもありました。アートピースのようなお洋服だったら、「これは繊細なので洗濯できません」と言えるけれど、そうはいかない。やりたいことと耐久性などの実用的な面の両立を考えるのにも苦労しましたね。

また、伊織さんというパートナーがいたので、そのまだ見ぬ隠れたパワーや技術を使って、見たことのないタオルを作りたいと思っていました。普段の洋服づくりでもそうですが、あまりデザインしているという感覚がないんです。既にあるけれど、なかなか一般的ではないような素材や技術を掘り起こして、びっくりするようなものを作るというイメージでいます。そこが自分らしさでもあるのかなと。

─予想外から生まれる可能性

肌に触れたときに面白いと思っていただけるように、ぽこぽことした立体的な織りが特徴になっていますが、実は凹みの部分も楽しんでほしいんです。子供達があの凹みにビーズを入れたりして遊んでくれないかなぁと思ったり。番外編みたいな楽しみ方ですけど、こんなことを思いつくのも、他にはないタオルを作れたからですよね。

洋服を作っていてもそうですが、こちらが予想していなかった感想が飛び出すのが楽しくて。手に取られた方がどういった反応をするか、どんな使い方をしてくださるか、気になります。そこから新たな可能性が見えたり、発見があったり…そうして商品が育っていってくれたら嬉しいです。

POTTENBURN TOHKIIのアイテム

ものづくりを支える私の道具
─ 中島トキコ 「ブルーノ・ムナーリの絵本」

子どもの頃に両親に買ってもらってから、ずっと大事にしている『きりのなかのサーカス』。 デザインをしていてなにかに迷ったときには、必ず手に取ってしまう本のひとつです。 ページがトレーシングペーパーでできていて、めくるたびに新しいシーンが現れる仕掛け絵本なのですが、 今思えば、小さい頃から素材の面白さに魅せられていたのかもしれません。

アトリエ訪問:2020年10月26日

Interview:Ayaka Tajima(Spiral Market)
Photo:Heeryeon Lee

Profile

POTTENBURN TOHKII/中島トキコ

2010年 自身のブランドPOTTENBURN TOHKIIをスタート
2012年 Tokyo新人デザイナーファッション大賞プロ部門 受賞
日本メンズファッション協会 ベストデビュタント賞 受賞

2018年 スパイラル1F MINA-TO ユニフォーム制作

POTTENBURN=自分の中に潜むつぼ(pot)のなかの宇宙(天ten)がバーンとはじけている(burn)という意の造語。主に京都で出会った資材用メッシュの工場でオリジナル生地を制作、素材の新しい可能性を生地の中に落とし込む。


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